ROS-Industrialのトレーニング教材を日本語訳しました!

著者:Ryosuke Tajima

ROS-Industrialのトレーニング教材を日本語訳しました!

ROS-Industrialって?

産業用などのロボットアームとROSの組み合わせについて調べると,”ROS-Industrial(以下ROS-I)”というのが見つかって,気になりますよね.自分のロボットに対応しているのだろうか,ロボットにやらせたいことが出来るパッケージが揃っているんだろうか,そもそもROS-Iって何なんだろうか,ROSとは違うの? そのような問い合わせをTORKでも多く受けています.

ROS-Iは,国際的なコンソーシアムの名前です.このコンソーシアムでは,ROSを産業用途に用いる際の技術的な問題を参加メンバー企業間で共有し,メンバー内の企業が(契約に基づき)パッケージやソリューションを提供する,という活動です.ROS-Iという規格やパッケージ群が,ROSと独立してあるわけではありません.あくまで,ROSのエコシステムの中での話です.

ROS-Iで開発,管理されたパッケージは,しばらくはメンバー企業の中でのみ共有されますが,最終的にはオープンソースとすることが契約で決められています.ROS-Iのレポジトリで公開されているのは,これらの成果です.

ROS-Iでは,この成果を使うためのトレーニングコースを北米,EU,そしてアジアではシンガポールで定期的に開催されています.3日間ぐらいのコースとなっています.このトレーニングコースは,ROS-Iのメンバーでなくても受講することができます.

さらにそのトレーニング用の教材も公開されていて,これを参考にすれば興味がある人はだれでも,ROS-Iの主要パッケージについて勉強することができます.

これには,ROSの基本的な解説やセットアップの他に,C++でのノードの書き方,MoveIt!,ROS-Iで最近開発された直交座標系でのプランニングパッケージ”Descartes”や,センサを使った点群処理,画像処理といった内容が含まれています.演習が主になっていて,自分のPCもしくはVMで試しながら習得するというスタイルです.

正直言って,難易度はけっこう高いと思いますが,ROSをすでに習得していて産業用ロボットでこれからガンガン使うぞ!という方にとっては,大いに参考になる内容ではないかと思われます.

トレーニング教材を日本語訳しました!

「でも英語じゃーなあ...」と思ったそこのあなた,朗報です! このトレーニングコースの教材をTORKで日本語訳し,このたび完成しました!

ROS Industrial トレーニング教材

日本語の目次は以下のようになっています.興味が湧いた方は,ぜひ日本語でチャレンジしてみてください.

PC のセットアップ
準備
C++
Linux の基礎

演習 0.1 – Ubuntu GUI 入門
演習 0.2 – Linux のファイルシステム
演習 0.3 – ターミナルを使う
基礎編
セッション 1 – ROS の概念と基礎

演習 1.0 – ROS のセットアップ
演習 1.1 – ワークスペースの作成
演習 1.2 – パッケージのインストール
演習 1.3 – パッケージとノード
演習 1.4 – トピックとメッセージ
セッション 2 – 基本的な ROS の使用法

演習 2.0 – サービス
演習 2.1 – アクション
演習 2.2 – launch ファイル
演習 2.3 – パラメータ
セッション 3 – マニュピレータの制御

演習 3.0 – URDF 入門
演習 3.1 – 作業セルの XACRO
演習 3.2 – TF を用いた座標変換
演習 3.3 – MoveIt! パッケージのビルド
演習 3.4 – RViz 上での動作計画
セッション 4 – Descartes パッケージと認識

演習 4.0 – C++ 上での動作計画
演習 4.1 – 直交座標系動作軌道計画入門
演習 4.2 – 知覚・認識系入門
応用デモ 1 – センサ認識を用いたマニュピレーション
デモ 1 – センサ認識を用いたマニュピレーション
応用デモ 2 – Descartes パッケージによる動作計画と実行
デモ 2 – Descartes パッケージによる動作計画と実行
応用編
セッション 5 – 軌道生成と知覚パイプラインの作成

演習 5.0 – 高度な直交座標系動作軌道計画
演習 5.1 – 知覚パイプラインの構築
演習 5.2 – STOMP 入門
演習 5.3 – Python のためのシンプルな PCL インタフェースの構築
演習 5.4 – OpenCV 画像処理( Pyhton )
セッション 6 – ドキュメント生成 / ユニットテスト / ROS ユーティリティ / デバッグ

演習 6.0 – ドキュメント生成
演習 6.1 – ユニットテスト
演習 6.2 – rqt 分析ツール
演習 6.3 – ROS スタイルガイドと ros_lint
演習 6.4 – ROS と Docker / Amazon Web Service

冬休みの課題として,チャレンジしてみてはいかがでしょうか.

注意点ですが,日本語版の内容に問題や間違い,改善点があった場合には,本家ではなくTORKの方へご連絡およびPull Requestをお願いします.

それではみなさま,良いお年を.

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