本シリーズ前回の記事 Gazebo/MoveIt のための 3D モデリング(10)部品作成編 で洗濯機全体の形状が完成しました.
まずはエクスポートするメッシュの確認も兼ねて,可動部分のない一番単純な Gazebo と MoveIt それぞれにおける洗濯機モデルを作ることを目標として,今回は CAD( 本記事では Rhinoceros )の形状データに色を付けるとともに Gazebo や MoveIt で利用できるデータ形式にエクスポートする手順を紹介します.
次の図は今回エクスポートするデータを Gazebo と MoveIt のシミュレーションモデルに組み込んで表示させた様子で,次回の記事のゴールになる予定です.
Gazebo/MoveIt のシミュレーションモデルにはディスプレイ表示用の visual メッシュと干渉チェック用の collision メッシュの2種類のデータが必要です.今回は大きく分けて次の ① ② ③ の 3種類 のデータを用意します.
ひとまず可動部分のない Gazebo および MoveIt のシミュレーションモデルを作成しますので,これまで作成してきた洗濯機モデルの閉じたポリサーフェス(=ソリッド)をそのまま全て選択して「選択オブジェクトをエクスポート(Export)」で干渉チェック用の STL メッシュデータファイルとしてエクスポートします.
ファイルの種類で「STL (Stereolithography) (*.stl)」を選択します.ファイル名はメッシュモデルの乗るシミュレーションモデルのリンク名にすると分かりやすいので今回は「base_link.stl」とします.
「ポリゴンメッシュ詳細オプション」の子ウィンドウが出るので各設定項目は主に下のリストのように今回は設定しました.(図はクリックで拡大表示されます.)
STL メッシュデータの粗密やデータ量を調整したい場合は主にこれらの設定値を調整します.
「STLエクスポートオプション」ではデータ量を確認してデータが大きすぎるような場合には「メッシュを調整」ボタンから再調整して,問題なければ「バイナリ(B)」でエクスポートします.
エクスポートした STL ファイルの内容を確認するにはフリーソフトウェアの MeshLab にインポートするのが良いのではないかと思います.
MeshLab は Windows・Mac・Linux のどのプラットフォームにもインストールできますので便利です.
また Windows であれば「3Dビューアー」,Mac であれば「プレビュー」でも STL ファイルを表示することが可能です.
エクスポートした STL ファイルに洗濯機全体の形状データが含まれているように表示されるかと思います.
干渉チェック(collision)用の STL ファイルへのエクスポート手順は以上です.
ディスプレイ表示用の visual メッシュは色を付けない単色での利用も可能ですが,せっかくなのでカタログから推測して次のリストの色分けをしてみます.
Rhinoceros のデフォルトではポリサーフェスで1つにまとまっていると色や反射率,透過率などの設定が含まれるマテリアル設定が1つしか反映されないので,色ごとのポリサーフェスやサーフェス,それらのグループに分解します.ソリッド(=閉じたポリサーフェス)の状態は残しておきたいので色付け用のレイヤを作成してそのレイヤに洗濯機モデル全体をコピーしたものを分解,色付けします.
色はオブジェクトの「マテリアル」を設定して付けます.
色ごとに分けたオブジェクト(=ポリサーフェスやサーフェス,グループ)を選択してから右クリックして「オブジェクトのプロパティ(S)」を表示して「プロパティ: マテリアル」タブを開きます.
マテリアルの設定時に気を付ける点があり,「金属」系の色は後の項目でエクスポートする Collada(DAE)ファイルや Gazebo,MoveIt のディスプレイ上では反映されなく,意図しない,おそらくエクスポートしたオブジェクトのあるレイヤー色か黒などに表示されてしまうので「プラスチック」系のマテリアルを使用して各色を指定するのが良さそうです.
また,Rhinoceros 上での表示形式を「レンダリング」にすることでマテリアルが反映された表示になります.
上の図では 「gray-white」を選択した例を示していますが,他の「light-gray」「dark-gray」「blue-gray」についても同様にプラスチック系マテリアルの色を調整して設定します.
MoveIt シミュレーションモデルの URDF ファイルから表示用(visual)メッシュとして使うために,マテリアルを設定して色付けしたモデル Rhinoceros から Collada(DAE)ファイルとしてエクスポートします.
Collada(DAE)のメッシュデータには色や単位の情報も含まれるので全色分のオブジェクトを一緒くたに選択して「選択オブジェクトをエクスポート(Export)」でエクスポートします.
ファイルの種類に「COLLADA(*.dae)」を選択します.ファイル名はメッシュモデルの乗るシミュレーションモデルのリンク名にすると分かりやすいので今回は「base_link.dae」とします.
エクスポートした DAE ファイルの内容の確認は Mac だと「プレビュー」で右の図のように行えます.
FreeCAD は Windows や Mac,Linux で利用でき,DAE データも表示することができます.
FreeCAD の操作感はあまり良いとは言えないのですが様々な形式の 3D データが読み込めるのでデータ確認には非常に便利です.
今回,洗濯機操作部の丸いボタンに金属系マテリアルを設定して Collada(DAE)ファイルとしてエクスポートして利用しようとしましたが金属マテリアル部分が DAE メッシュとしては黒色になってしまって金属的な表現にはなりませんでした.
今回筆者の調べた範囲においては glTF(ジー”エル”ティーエフ) 形式とそのバイナリ形式の glb 形式が 3D モデルのファイル内に金属やガラスなどのマテリアル表現の情報も含まれる形式とのことでしたので Rhioceros にこれらの形式をエクスポートするプラグインを導入し,丸ボタンに金属マテリアルを適用したものを glb 形式でエクスポートして,Web にある glTF ビューア で表示してみたものが次の図です.
ボタンの部分が金属的な表現になっているように見えます.
ではこの glTF や glb 形式の 3D モデルファイルが Gazebo や MoveIt で使えるのか,といったところが ROS ユーザとしては気になるところです.Gazebo や MoveIt はレンダリングエンジンに OGRE(Object-Oriented Graphics Rendering Engine) を利用しています.
OGRE の現時点で最新リリースが 2022年2月9日 リリースの 13.3 です.OGRE v13.3 では glTF2.0 形式の情報を利用した金属や布などのマテリアル表現が可能になったとのことです.
Gazebo や MoveIt でも OGRE で新しくリリースされた豊かなマテリアル表現機能を使えるように実装が進んだら,今回上手くいかなかった金属表現もできるようになるのかな?と期待しています.
Gazebo シミュレーションモデルの SDF ファイルから表示用(visual)メッシュを色付きで使うためには色ごとにメッシュを分けた STL データファイルに対して SDF ファイル内で色情報を指定する必要があります.
そのために Rhinoceros からは色ごとにオブジェクトを選択して各色の STL ファイルとしてエクスポートします.
一般的な STL ファイルには色情報が含まれませんので Rhinoceros 上で色を付ける必要性はないのですが,前の項目で既に色ごとに分けて色付けしたオブジェクトがありますので,ここでは「色で選択(SelColor)」でそれぞれの色を選択して「選択オブジェクトをエクスポート(Export)」すると楽にできます.
STL エクスポート自体のの手順は先ほどの「干渉チェック(collision)用 STL メッシュデータのエクスポート」内で行った手順と基本的には同じですが,色分けした,ソリッド(=閉じたポリサーフェス)ではない,開いたポリサーフェスやサーフェスをエクスポートすることが出てきますので,その場合は「STLエクスポートオプション」にて「開いたオブジェクトをエクスポート(E)」のチェックを入れる必要があります.
ファイル名はメッシュモデルの乗るシミュレーションモデルのリンク名に色名を足しておくと分かりやすいので,今回は下のリストの各ファイル名で 4色分 4つのファイルとしてエクスポートしました.
複数に分けた STL ファイルを MeshLab にインポートすると MeshLab 内のレイヤとして表示されるのでレイヤの表示・非表示を切り替えるなどしてメッシュの確認を行うと良いのではないかと思います.
今回の記事はここまでです.
本シリーズ次回の記事は
「Gazebo/MoveIt のための 3D モデリング(12)Gazebo や MoveIt の静モデルの作成」
として,今回エクスポートしたメッシュデータファイルを Gazebo や MoveIt のモデルファイルに組み込んで表示する様子を紹介する予定です.
前回 「Gazebo/MoveIt のための 3D モデリング(3)基本形状編 – その2」 では洗濯機の基本的な形状で構成されるサーフェスのモデリングを行いました.
今回は発展的な内容として滑らかなサーフェスのモデリングに向けた予備知識的な内容の説明をします.
ロボットモデルはシミュレータ上で使うために結局メッシュ(ポリゴン)にしてしまうのでシミュレーションなどに利用する 3D モデル作成においては 「滑らかなサーフェス」 である必要性は高くありません.
しかし,モデリング対象の中には滑らかなサーフェスになるように設計されている製品もあります.そのような製品のモデリングの際に対象物の形状が円弧のように見えるけど何か違うので合わなくて悩むようなことがあります.そういったときに円弧などの基本的な形状以外のサーフェスもあることを知っていると,それは厳密には合わないものとして割り切って近似的に円弧などのシンプルな形状としてモデリングするということも適切に判断できると思います.
このようなことから,今回の記事はそういった 「滑らかなサーフェス」 について 「知る」 ことを目的としています.
「滑らか」 とはは何であるかというと,曲線やサーフェスの位置や接線方向,曲率,曲率の変化率に連続性があるということです.
上の図は 90° の角度をもつ直線間を曲線で接続させたときの連続性の違いによる曲率(黄色カーブ)のグラフ(CurvatureGraph)を表した画像をアニメーション化したものです.
(クリックで拡大)
各接続条件は次のリストのように連続性の条件が加わってゆくように考えてください.
「R形状」は「接線連続」のうち円弧で接続できる特殊なケースと捉えることができます.
上の図の接続連続性の異なる曲線を 「押し出し」 してサーフェスを作成してレンダリング表示にしたものが次の図です.
影の付き方が曲率や曲率変化率などの連続条件を加えてゆくと段々と滑らかになるのが見て取れるでしょうか?
サーフェスの曲率を解析して色で表した(CurvatureAnalysis)ものが次の図で,青が曲率が小さく,赤が曲率が大きいコンタ図になっています.
連続性の条件が加わるにつれて接続部周辺の曲率の変化が緩やかになっています.
また,サーフェスの滑らかさを評価するために 「ゼブラ(縞模様・Zebra)」 解析もわかりやすいのでよく利用します.
ゼブラ表示によりサーフェスの連続性がより強調されます.縞模様の通り方の滑らかさがサーフェスの接続性の滑らかさを表しています.サーフェスが滑らかに接続しているかどうかを評価したり,接続を滑らかに修正する際に役立ちます.
本シリーズの記事のモデリング対象として作成した洗濯機モデルの曲率とゼブラを表示したものが次の2つの図です.モデル全体で解析すると解析用のメッシュを細かく出来なくなるので,実際には接続性を評価する面に限って解析用メッシュをなるべく細かくして解析をするようにしています.
実際に滑らかなサーフェスをモデリングする場合は,サーフェスが CAD やサーフェスモデラ内部でどのように表現されているかを理解しているとより意図したものに近いサーフェスを作成できるように思います.
Rhinoceros や一般的な CAD などでは曲線やサーフェスは NURBS (Non-Uniform Rational B-Spline/非一様有理Bスプライン) という数学的モデルで表現されています.
NURBS 以外にもサーフェスの 3D 表現モデルとして SubD (Subdivision/細分割曲面) もあります. SubD はコンピュータグラフィックス系の 3D モデリングソフトウェアで利用されていますが,機構設計分野ではあまり使われていませんので本シリーズの記事の対象としません.
NURBS で表現される曲線やサーフェスが何で構成されているかは大まかに述べますと 「制御点」 と 「次数」 です.
上の図は前項目で 90° の角度をもつ直線間を連続性の異なる接続をした曲線がそれぞれどのような 「制御点」 と 「次数」 で表現されているかを示した図をアニメーション化したものです.
NURBS カーブにおいてはその接続における連続性は次のリストにある各数の「制御点」により構成されています.
「次数(degree)」 は大きな数字になるほど曲線が滑らかになります.
上の図は 90° の角度をもつ直線間を接続した 「制御点:8 次数7 の曲線(曲率変化率連続)」 をあえて 「リビルド(Rebuild)」 して 「制御点:8 次数: 3 の曲線」 にして両端点の曲率を接続先の直線に 「マッチング(Match)」 した曲線の曲率の比較です.同じ制御点数でも次数が低いと曲線内で曲率の変化率の連続性が保てなくなってしまいます.
曲線に設定できる 「次数の最大値」 は 「制御点数 – 1」 です.
両端を曲率連続にするための 「制御点が6個」 の曲線の場合は 「次数の最大値は5次」,両端を曲率変化率連続にするための 「制御点が8個」 の場合は設定できる 「次数の最大値は7次」 になります.
制御点が多いとより細かく曲線やサーフェスの形状の制御が出来ますが,編集が大変だったり,データサイズが大きくなってしまうので,最小の制御点と適切な次数で表現したい形状や滑らかさを規定できるのがベストです.
接続条件は曲線の両端で同じである必要はないので,例えば片方の端は 「位置連続」 にして,もう片方の端は 「曲率変化率連続」 にするということも可能です.この場合の必要最小限の制御点は 「位置連続側: 1点」 と 「曲率変化率連続側: 4点」 と合わせて 「5点」 は必要になります.制御点を 「5点」 とした場合の次数の最大値を採って 「4次」 とするのが良いでしょう.
制御点が少なくて意図する形状が得られないようでしたら適宜制御点を多くして,次数もそれに合わせて大きくすると良いですが,次数の方は最大でも 「7次」 で十分なように筆者は考えています.
これまで曲線を例に 「制御点」 と 「次数」 について説明してきましたが,サーフェスは曲線の「制御点」と「次数」を2方向に拡張したものです.
サーフェスは 「U方向」 と 「V方向」 の2方向がある 「四角い布」 をベースに,それを伸縮・曲げを行ったり,トリムしてその一部を使ったりするイメージとして捉えることができます.
円錐体のような三角形のサーフェスもありますが 「四角い布」 の特殊例と捉えることができ,同様にUV方向それぞれの要素があります.
次の図は本シリーズでモデリング対象とするために作成した洗濯機モデルのボディの角部のサーフェスの制御点と曲率のグラフを表示したものです.四方にある接続先のサーフェスとそれぞれ(なるべく)曲率変化率まで連続するように作成しました.そのため次数を 7次 とし,制御点を U方向に 15点,V方向に 8点 を持つサーフェスとしました.
曲線の連続性と同じように,サーフェスの連続性も各辺毎に作成時設定できるサーフェスもありますし,マッチングの際に異なる設定で各辺で行えば可能ですが,四辺の接続先と矛盾がないようにしないと隙間のないサーフェスにならない可能性もある点が曲線に比べて難しいところです.
さて,ロボットシミュレータのための 3D モデリングにおいてはどれほど滑らかなサーフェスを作成したら良いのでしょうか?
本記事冒頭で述べたように,ロボットモデルはシミュレータ上で使うために結局メッシュ(ポリゴン)にしてしまうのでシミュレーションなどに利用する 3D モデル作成においては 「滑らかなサーフェス」 である必要性は高くありません.
曲率連続や曲率変化率連続のサーフェスでモデリングしてメッシュ化してもそのような連続性に近い状態を維持しようとするとメッシュが細かくなりデータが重くなります.ただ,そのロボットシミュレーションをデモンストレーションやプレゼンテーションで綺麗に見せたく,少しメッシュデータが重くても良いような場合はなるべく滑らかなサーフェスをモデリングすることもあるように思います.
また,メッシュのデータ量の他にモデル作成の手間も考えておくべきでしょう.
下のリストにサーフェスの連続性の違いをまとめました.技術的なロボットシミュレーションが目的であれば 接線連続 までとしてモデリング時間を省くのも1つの方法です.大きな面はメッシュで形状が潰れてしまわないので 曲率連続 や 曲率変化率連続 まで考慮したモデルとして,小さな面はメッシュ形状に埋もれてしまうので R形状 や 接線連続 としてメリハリをつけるのも良いでしょう.
Rhinoceros では「曲率連続」までは標準の機能として普通に利用できるのでロボットシミュレータのための 3D モデリングでも用いるのはそんなに手間のかかることではないように思います.
今回の記事はここまでです.
大体どのような滑らかさのサーフェスの種類があって,CAD やサーフェスモデラでそれを作成するために必要な条件や作成の手間のイメージが伝わっていると良いのですが.
本シリーズ次回の記事は
「Gazebo/MoveIt のための 3D モデリング(6)滑らかなサーフェス – 作成編」
を予定しています.
前回の Gazebo/MoveIt のための 3D モデリング(2)準備編 で右の図のように三面図を空間上に配置してモデリングの準備を行いました.
今回から実際のモデリング方法の紹介を行います.今回のゴールは基本的な形状で構成された次の図の状態です.
直方体と球面でモデリングします.
レイヤ03 を model という名前にしてこのレイヤ内でモデルを作成します.
レイヤ model をダブルクリックするとチェックマークが model レイヤに付いて編集対象のレイヤになります.
三面図を見るとボディの上面や側面,1段上がった底面,背面から1つ前方の面は平面で構成されているようです.(筆者が基のモデルを作成しているので自作自演なのですが…)
直方体を描画してそれらのサーフェスとします.
まず,準備で描画した outline のボックスを利用して直方体を描画するために Osnap の「端点」のチェックを入れておきます.
直方体は Box コマンドかメニューから ソリッド(O) > 直方体(B) > 2コーナー,高さ指定(C) を選択して描画します.
outline の底面の対角点の2点と高さとして上面のいずれかの角の点を順次クリックすると右の図のように直方体が描画できます.
次に,1方向のみのスケーリング Scale1D( 変形(T) > スケール(S) > 1Dスケール(1) )を使ってボディの底面の位置と奥行方向の2つの寸法調整をします.
底面の位置は Scale1D で上面位置を基準として変形を行います.
奥行方向の寸法調整は後で前面のサーフェスを作成してそれでトリムをしたいので少し前に出しておきます.もしくは背面の突出している部分の基となる面がが 40mm 分前に来るのでガムボール移動で X方向 に 40mm 移動するようにしても大丈夫です.
洗濯機前面の主なサーフェスは球面ぽい感じがします.(自作自演ですが…)
まずは球面の半径を推定します.
洗濯機の側面視,Rhinoceros での Back ビューにて外形カーブに沿って3点指定の円を描画しておおよその半径を見てみます.
3点指定の円はメニューからは 曲線(C) > 円(C) > 3点指定(3) で実行し,コマンドでは Circle を実行してから 3点(O) を指定します.アイコンからは円形状から3点付いた円を選択します.
洗濯機前面の側面視への投影輪郭線上の3点を指定して円を描画します.
次に描画した円の半径を調べます.メニューからは 解析(A) > 半径(R) を選択し,コマンドの場合は Radius を入力して描画した円を選択します.その結果,先程描画した円の半径は「5182.7590331 ミリメートル」と解析されました.
切りの良い数字で半径は 5000mm ぐらいかな?と当たりをつけて球を描画してみます.
描画した円を削除します.
先程と同じメニュー・コマンドの「3点指定の円」を利用しますが今度は投影輪郭線上の2点と半径 5000mm を指定して描画します.
描画した半径 5000mm の円の中心から半径 5000mm の球を作成します.Osnap の「中心点」にチェックを入れます.球を作成するにはコマンドでは Sphere,メニューからは ソリッド(S) > 球(S)です.球の中心に円の中心を選択して半径 5000mm を指定して球を作成します.
このように側面視では半径 5000mm の球であるとみなしましたが,他の投影図で見ても洗濯機前面のサーフェスとしてこの半径 5000mm の球面が妥当であるか? を見てみます.
上面視(Rhinoceros の Top ビュー)から見ても半径 5000mm から作られる形状が三面図と整合するかを確認します.
作成した球を上面の高さでトリムします.上面高さで水平な直線を描画してそれを用いてトリムします.
側面視で Line コマンドかメニュー 曲線(C) > 直線(L) > 線 もしくはアイコン選択で直線描画を開始し,Osnap の「端点」にチェックが入っている状態で上面の1つの頂点を選択して Shift キーを押しながら水平に直線を描画します.
トリムに用いる直線を選択した状態でキーボードショートカット Ctrl+T を選択するとトリムコマンドが開始されますのでトリム対象として球のサーフェスを選択します.この時トリム設定として ( 切断線を延長(E)=はい 仮想交差(A)=はい ) として実行します.
次の図は洗濯機の上面高さでトリムした球面サーフェスの上端エッジの円とその上端エッジを曲線として複製( DupEdge )してその曲線を洗濯機の上面図上の曲線とほぼ重なる場所にオフセット( Offset )させた比較です.
(画像クリックで拡大) オフセットさせた曲線は洗濯機上面図の曲線と比べて少し半径の大きい円のようですので,実際の洗濯機の前面の球面の半径は 5000mm よりも小さい可能性が高いです.
洗濯機前面を球面とした場合は 5000mm では少し半径が大きいようですので,半径 4000mm の球面として半径 5000mm で行ったのと同じように描画して評価する手順を再び行います.
洗濯機前面サーフェスを半径 4000mm の球面とした場合の洗濯機上面図とトリムされた球面エッジを比較したのが次の図です.
画像では「上端エッジからオフセットした曲線(円)」が黄色になっているので少し見づらいかもしれませんが洗濯機の上面図内の曲線と一致しているように見えます.(画像クリックで拡大) このことより洗濯機前面のサーフェスを半径 4000mm の球面としたのはおおよそ妥当だと判断しました.
Perspective ビューで少し広めにモデリング空間を表示させたのが次の図です.ボックスと上面高さでトリムされた球面が見えています.
側面視で描画した円は オブジェクトを非表示( メニュー: 編集(E) > 表示(V) > 非表示(H) / コマンド: Hide ) にしてしまっても良いかもしれません.
球面とボックスを互いにトリムして洗濯機のボディ形状に近づけます.
互いに完全に交差した球面サーフェスと Box サーフェスを互いにトリムしたので両者間に隙間はないはずです.ただ,これらは結合(Join)して一体化していないので,状態としては隙間なく互いにただ並べられている状態,英語では Watertight(水密)などと言われる状態です.
それを確認するために解析ツールで「エッジを表示」してみます.
エッジ分析の小ウィンドウが表示されたらその中の 表示 – オープンエッジ(N) を選択します.
トリムされた球面サーフェスと Box サーフェスの境界部分が明るい紫からピンクのような色で表示されると思います.
トリムした球面サーフェスと Box サーフェスを結合(Join)してオブジェクトとして1体化ます.両方のサーフェスを選択してから結合を実行します.
結合したら再び「エッジを表示」を実行してオープンエッジがないかを確認します.
オープンエッジがなかったら次のようなエッジ分析の結果が出るかと思います.
「合計??個のエッジ.オープンエッジ,非多様体エッジはありません.」
これは 「閉じたポリサーフェス」 や 「ソリッド」 と呼ばれるモデルの状態を意味します.
今後「ソリッドモデル」や「閉じたポリサーフェス」であるはずのモデルを作った場合は都度確認するようにしましょう.都度確認しないで何かのはずみで僅かな隙間が残っているまま作業を進めてしまうと後々にサーフェスが閉じなくなり多くの作業をやり直さないとならなくなってしまうことがあります.
次に前面下部のサーフェスも似たような面であろうと目論んで,側面視(Rhinoceros の Back ビュー)で半径 4000mm の円を描画してみると,大体 Z=350mm ぐらいの平面で上下反転しているように見えます.
球面サーフェスを反転コピーするために先程結合したソリッド(閉じたポリサーフェス)モデルから 「サーフェスを抽出」 して球面サーフェスを分離します.
球面サーフェスを反転コピーするために側面視(Rhinoceros の Back ビュー)で直線(Line)を座標 (0,350) から水平に引きます.
前面の球面サーフェスを選択してミラー変形で反転コピーします.
座標 (0,350) から水平に引いた線の両端を順に選択して反転させます.
座標 (0,350) から水平に引いた線で不要になる球面サーフェスをトリムし,またミラーコピーした球面サーフェスの Box サーフェスからはみ出る部分や Box サーフェスのはみ出る部分を球面サーフェスでトリムします.
これらのトリムされた上下の球面サーフェスと Box サーフェスを結合(Join)すると次のようなソリッド(閉じたポリサーフェス)モデルになり,記事の冒頭で述べたゴールに辿り着きました.
次回は, 「3D モデリング(4)基本形状編 – その2」 として洗濯機の背面や底部の形状のモデリングを説明する予定です.
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是非 wiki ページ からダウンロードしてみてください.
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TORK will be mentoring a student for Google Summer of Code 2015 organized by OSRF (Opensource Robotics Foundation), once a student is assigned to our project.
Please see project description at OSRF web site for more information. Discussion about our project happens here.
OSRF (Opensource Robotics Foundation) が実施する Google Summer of Code 2015 のメンターを引き受けることになりました.
興味の有る方はプロジェクト説明をご覧いただくか,お気軽にお声がけください.プロジェクトに関する議論はこちらで行っています.